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施術は、予約の時点から始まっている

irie

フェザータッチ施術の時間は、ほんの1時間。
そこに全神経を集中させる、究極のサービス業。

私はずっとそう思って、この仕事を続けてきました。

でも、本当の意味で施術が始まるのは、もっと前。

お客様が、予約のフォームをそっと開かれた、その瞬間から。

あるレストランで、ふと気づいたこと

ある日、信頼するお店に伺ったときのことです。

席に通された瞬間、ふっと肩の力が抜けました。

荷物を置く場所が、自然と用意されている。
お手洗いの場所を、聞かなくてもさりげなくお伝えくださる。
メニューを開く前に、「お飲み物はいかがされますか」と差し出される一杯。

「どうしよう」「これでいいのかしら」と立ち止まる隙が、どこにもないのです。

ああ、これだ、と思いました。
私たちの仕事も、まったく同じだと。

心地よさは、何かが「ない」状態から生まれる

お客様が、

「この時間で、大丈夫だったかしら」
「持ち物は、何が必要だったかしら」
「初めてだけれど、どうやって過ごすのかしら」

そんな小さな疑問や不安を、ほんの少しでも抱えたまま来店されると、その違和感はベッドに横になってからも、すっとは消えてくれません。

心地よさは、何か特別なものを足すことから生まれるのではなくて。

迷いや不安が、最初から「ない」状態をつくっておくこと。
私はそこに、お客様への一番のおもてなしがあるのだと思っています。

先回りして、そっと整えておく

私が予約の段階で大切にしていること。

それは、お客様の「これ、どうなのかしら」を先回りして、そっと整えておくことです。

ご都合のいい日時の候補を、こちらから2〜3つ、控えめにご提案する。
道順などは、聞かれる前にお伝えしておく。
ご来店前にお気持ちが揺れそうなことは、予約完了のメッセージに、あらかじめ添えておく。不安にならないようにリマインドメッセージを送る。

そうやって、お客様の心に浮かびそうな小さな問いに、ひとつずつ、先にお返事をしておく。

これは、お客様に何かを差し出していただくのではなくて。
私たちの側で、お迎えの支度を整えておくこと、なのだと思います。

手ぶらの気持ちで、扉を開けていただくために

そうしてお越しくださると、お客様は手ぶらの気持ちで扉を開けてくださいます。

「あとはもう、先生にお任せします」

そんな空気で迎えられたお客様の身体は、不思議なくらいゆるんでいます。

委ねていただいているから、肩も背中も、自然と力が抜けている。
だから、施術の効果の届き方まで、変わってくる。

これは10年以上現場に立ってきて、私が静かに確信していることです。

1時間のために、その前のすべてを整える

施術の時間は、ほんの1時間。

そこに全神経を集中させるために、それ以前の時間こそ、丁寧に整えておく。

予約の瞬間から、もう、おもてなしは始まっている。
心地よい時間を、お客様の代わりに先につくっておく。

それが、私たちの仕事の、いちばん見えにくくて、いちばん大切な部分なのかもしれません。

おわりに

技術を磨くこと。
所作を整えること。
言葉を選ぶこと。

そのどれも大切ですが、それらが本当に活きるのは、お客様が安心しきって、目の前に座ってくださっているとき。

予約の時点から、施術は始まっている。

今日もそう信じて、最初の一通のメッセージから、丁寧に向き合っていきたいと思います。

ABOUT ME
入江  朋子
入江 朋子
小顔美顔マスタートレーナー
16歳よりエステティシャンとして活動を開始。 大手エステサロン「たかの友梨ビューティークリニック」や麻布の大手スパサロンで著名人の施術を手がけ、2014年独立。小顔美顔の整体サロン「SALON DE KOH麻布広尾」をオープン。トップモデル、女優、アスリート、ドクター、経営者など20年間でのべ2万人を施術。
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